- 図書館の数は過去最多で利用者1人あたりの貸出冊数は増加傾向
- AIやロボット導入など裏側では確実にDXが進んでいる
- 知のセーフティネットとして公共インフラの役割は代替不可能
図書館は時代遅れだと感じている人、正直多いんじゃないでしょうか。
私自身、30年以上図書館に通ってきましたが、最近はKindleやサブスクの便利さと比べて「なんか古いなぁ」と思うことが増えました。
でも、データを調べてみると意外な事実が見えてきたんですよね。
この記事では、図書館が時代遅れに見える理由と、その裏で確実に進化している部分、そして今後の可能性について、文部科学省の統計や自治体の実態をもとに解説します。
読み終わる頃には「なるほど、図書館にはそういう役割があったのか」と納得できるはずです。
本当に図書館は時代遅れなのか?現状を分析

図書館は時代遅れという印象を持たれやすいですが、統計データを見ると全国の図書館数は過去最多を更新し続けており、1人あたりの貸出冊数も増加傾向にあります。
つまり、表面的には古く見えても、実際の利用状況は思ったより健全なんですよね。
まずは以下の3つの視点から現状を整理してみましょう。
- 時代遅れに見えてしまう4つの部分
- 利用率は減っているのかというデータの真実
- それでも潰れることはない3つの理由
それぞれ詳しく見ていきます。
時代遅れに見えてしまう4つの部分
正直なところ、図書館が古臭く感じられるのには明確な理由があります。
主に以下の4点が挙げられるんですよね。
デジタル化への対応速度が遅い
Amazonや楽天Koboといった民間サービスと比較すると、図書館の電子書籍ラインナップはめちゃくちゃ少ない。
2025年4月時点で電子図書館を導入している自治体は全体の33.1%に過ぎず、導入していても蔵書数は紙の本の数%程度というのが一般的です。
さらに貸出管理システムのUI(ユーザーインターフェース)が古いままで、操作性が悪いと感じる利用者が多いのも事実。
スマホアプリの使い勝手を知っている世代にとっては、正直ストレスですよね。
物理的なアクセスの制約がある
開館時間が平日の日中中心という自治体が多く、現役世代にとっては使いにくい環境。
加えて「現地に行って返却する」という手間が、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する層に敬遠されているわけで。
24時間いつでもアクセスできる電子書籍サービスと比べると、どうしても不便さが目立ちます。
「本を借りる場所」という固定観念が根強い
多くの人が図書館を単なる「本の倉庫」だと思っているんですよね。
実際にはコワーキングスペースやコミュニティ拠点としての機能が追加されているのに、そのアップデートが周知されていない。
古いイメージのまま止まっている人が多いんです。
施設・設備の老朽化が目立つ
予算不足により建物や什器が古く、カフェ併設のおしゃれなブックカフェなどと比べて居心地の面で劣るケースが多め。
特に地方の図書館では、この傾向が顕著です。
新しくリニューアルされた図書館は魅力的ですが、そうでない館との格差が広がっているのが現状なんですよね。
【注意点】
予算や自治体の方針により、最新設備がある図書館と従来通りの古い図書館の地域格差が顕著になっています。
利用率は減っているのかデータのリアル
「図書館離れが進んでいる」というイメージがありますが、統計データを見ると意外な事実が浮かび上がってきます。
文部科学省や日本図書館協会の調査結果を整理してみましょう。
図書館の数は過去最多を更新中
全国の図書館数は3,400館を超えており、過去最多を更新し続けているんですよね。
15年間で約2割増えており、インフラとしての整備は着実に進んでいます。
もし本当に需要がなければ、こんなに増えるはずがないでしょうね。
1人あたりの貸出冊数は増加傾向
国民1人あたりの年間貸出冊数は約4.8冊と、前回調査の4.2冊から増加しています。
総貸出冊数自体は2011年をピークに微減・横ばい傾向ですが、これは人口減少の影響が大きいわけで。
利用率そのものが極端に落ち込んでいるわけではないんです。
登録者数は横ばい・微増で推移
令和5年度の登録者数は約5,667万人と増加傾向にあります。
一部の年で貸出数が減少しているものの(2020年653,449千点→2022年623,939千点)、これは社会情勢の影響も考慮する必要があるでしょうね。
電子図書館が急成長している
ここ数年で電子書籍の貸出実績が急増しており、従来の「来館して借りる」スタイルから「オンラインで利用する」スタイルへの移行期にあります。
2025年4月時点で591自治体が電子図書館を導入しており、前年比で増加中。
利用形態が変化しているだけで、図書館の価値自体は維持されているんですよね。
【注意点】
利用統計や貸出数は日本図書館協会の年次調査で変動するため、最新データは公式サイトで確認してください。
それでも潰れることはない理由
図書館が自治体にとって不可欠な公共インフラである理由は、単なる本の貸出機能を超えたところにあります。
以下の3つの視点から、その存在意義を解説します。
「知のセーフティネット」としての役割
経済状況に関わらず、すべての住民に無料で情報へのアクセス権を保証する拠点なんですよね。
図書館法で自治体には設置義務があり、税金による公共サービスとして教育・文化拠点の役割を果たしています。
有料のサブスクリプションを利用できない層にとっても、ここは不可欠な場所。
つまり、誰もが知る権利を守るための最後の砦なんです。
地域情報のアーカイブ機能
その地域にしかない古地図、郷土資料、公文書などは民間では維持できません。
歴史や文化を後世に残す「記憶の装置」としての役割は、代替不可能。
利益にならないからこそ、公的機関が担わなければならない仕事なんですよね。
「サードプレイス」としての需要
自宅でも職場でもない、誰でも無料で滞在できる居場所としての価値があります。
近年はスターバックスなどのカフェと連携した「TSUTAYA図書館」のように、滞在型施設への転換が成功を収めているケースも。
不登校の児童やティーンズ世代向けに、ボードゲームや楽器演奏ができる専用エリアを設ける実証実験も注目されています。
本を読む場所から、人が集まる場所へ。
役割が変化しているだけで、需要は確実にあるんです。
【注意点】
自治体による格差が大きく、予算の豊かな自治体では最新設備が整う一方、財政難の自治体では閉館や分館の縮小が検討される場合もあります。
「図書館は時代遅れ」と言われがちだけど…知ると面白い裏側と可能性の伸びしろ

図書館は時代遅れという声がある一方で、目立たない部分では確実にDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいます。
知る人ぞ知る進化と、今後の可能性について掘り下げてみましょう。
- AIやロボットを活用した裏側の進化
- 利用率を上げるための具体的な工夫
- これから図書館が進むべき理想の未来像
それぞれ詳しく見ていきます。
知る人ぞ知る確実に進化している部分
図書館の内部では、テクノロジーや利便性が大幅にアップデートされています。
一般の利用者にはなかなか見えない部分ですが、確実に進化しているんですよね。
AIによる蔵書検索とレコメンド
従来のキーワード検索に加え、生成AIを活用して「うろ覚えのタイトル」や「ふんわりしたテーマ」から本を探せるシステムの実証実験が始まっています。
たとえば、埼玉県久喜市や青山学院大学図書館では、Fujitsu AI探索サービスを導入済み。
横浜市立図書館でも同様のサービスが展開されており、探索的検索で新たな本との出会いを支援しているわけで。
「こんな雰囲気の本が読みたい」という曖昧なリクエストにも応えられるようになってきているんです。
ロボティクスによる効率化
蔵書点検ロボットの導入により、これまで人間が数日かけていた棚卸し作業を、閉店後の数時間で自動完結させる試みが進んでいます。
これにより司書が「本の相談(レファレンス)」などの対人サービスに集中できる環境が整いつつあるんですよね。
機械にできることは機械に任せて、人間は人間にしかできない仕事に専念する。
まさに理想的な役割分担です。
「ジャパンサーチ」とデジタル化の加速
国立国会図書館(NDL)を中心に、絶版書や貴重資料のフルテキスト化が進んでいます。
Vision 2021-2025の計画では、2000年までの100万冊以上をデジタル化する目標が掲げられており、スマホから数百万点規模の資料を検索・閲覧できるインフラが急速に強化されています。
地域資料のジャパンサーチ連携も進んでおり、全国の図書館がネットワークでつながりつつあるわけで。
これ、地味だけどすごく重要な進化なんですよね。
【注意点】
AI導入やデジタル化計画は自治体の年次データや条例で変更される可能性があります。最新情報は各自治体の公式サイトで確認してください。
利用率を上げるために工夫されていること
単に本を置くだけでなく、「行きたくなる理由」を作るための施策が各地で展開されています。
具体的にどんな工夫がされているのか見ていきましょう。
「滞在型」への転換と飲食の解禁
かつては厳禁だった蓋付き飲料や、一部では食事も可能なスペースが増えています。
調査では飲食を許可した図書館の入館者数が平均で60%以上増加したというデータもあり、カフェ感覚での利用を促進しているんですよね。
コーヒーを飲みながらゆっくり本を読める環境って、やっぱり魅力的。
書店のブックカフェに負けない居心地の良さを目指しているわけです。
中高生の「第3の居場所」づくり
不登校の児童やティーンズ世代向けに、自習だけでなく「ボードゲーム」や「楽器演奏」「おしゃべり」ができる専用エリアを設ける実証実験が注目されています。
杉並区とカタリバの連携などが代表例で、学校でも家でもない安心できる場所としての機能を強化中。
図書館が単なる勉強する場所から、居場所そのものになっているんです。
本を「売る」図書館の登場
書店がない地域(ブックサバイバル地域)において、図書館内で新刊本の販売を試行する動きがあります。
2025年度から本格的に検討されており、「借りる」だけでなく「買う」接点を作ることで地域の文化維持を図っているわけで。
これは従来の図書館の概念を大きく覆す試みですよね。
24時間利用できる電子サービス
電子図書館の導入により、深夜でも早朝でも自宅から本が借りられる環境が整いつつあります。
入間市立図書館のようにDXで「どこでも図書館」を実現し、育児世代の利用を促進している事例も。
物理的な制約を超えた新しい利用スタイルが広がっているんです。
【注意点】
電子図書館の導入率やサービス内容は自治体の予算次第で変動します。DX施策の拡大度も地域差が大きいため、お住まいの地域の情報を確認してください。
私が思う図書館が進むべき理想の未来
30年以上図書館に通ってきた私の視点から、これからの図書館が目指すべき方向性を考えてみました。
公的報告書や専門家の提言も参考にしつつ、現実的な理想像を描いてみます。
「情報交換のハブ」としての機能
オンラインワークやWeb会議ができる防音個室の設置が進めば、在宅勤務者の拠点として機能するはず。
自宅では集中できない、カフェは長時間いづらい、そんな人たちの受け皿になれるんですよね。
無料で使える公共のコワーキングスペースとして、新しい価値を提供できるでしょうね。
デジタル・デバイド(格差)の解消拠点
単にデバイスを貸し出すだけでなく、AIの使い方やデジタルリテラシーを学べる「地域の教室」としての価値がさらに高まるはず。
高齢者がスマホの使い方を学んだり、子どもがプログラミングに触れたり、そういう場所としての役割が期待されます。
テクノロジーの恩恵を誰もが受けられるようにする、それが図書館の新しい使命かもしれません。
超パーソナライズ化
貸出履歴に基づき(本人の同意の上で)、その人の興味関心に合ったイベントや新刊をプッシュ通知で知らせる仕組み。
Amazonのようなパーソナライズド・サービスへの進化が予想されます。
「あなたにおすすめの本」が的確に提案される未来、けっこう魅力的じゃないですか?
地域コミュニティの核となる存在
イベント開催やワークショップ、地域住民同士の交流の場として機能することで、孤立を防ぐ役割も果たせるはず。
本を介した人と人とのつながり。
それこそが、デジタル時代における図書館の最大の強みになるかもしれません。
【注意点】
サービス格差が顕著になっており、予算や自治体の方針により最新設備がある図書館と従来通りの古い図書館の地域格差が広がっています。また、有料化の議論も一部で進んでおり、図書館法の「無料公開」原則との兼ね合いが課題です。
図書館はもう時代遅れだと感じる人のQ&A
図書館に対して抱きがちな疑問について、データや実態をもとに答えていきます。
冷めた目線で見ている人にこそ読んでほしい内容です。
Q. 借りる人が減って勉強する学生の「自習室」になってない?
A. 実態は「自習室としての需要を認めつつ、本来の役割を守るための線引き」が進んでいます。
多くの公立図書館の規定では、座席は「図書館の資料を使って調べるためのもの」とされており、持ち込み資料のみの自習を禁止している館が少なくありません。
ただ、近年は「滞在型(サードプレイス)」としての価値を重視し、あえて自習やPC作業が可能なエリアを拡大するリニューアルを積極的に行っている館も増えているんですよね。
なぜ自習室化して見えるのか
これは戦略的な選択なんです。
「本を借りる」目的以外でも来館してもらい、結果的に本に触れる機会を増やすための工夫。
統計を見ると「貸出冊数」は微減傾向にある地域もありますが、「来館者数」は新しい図書館ほど増加しています。
令和5年度の登録者数は約5,667万人と増加傾向にあり、利用者の目的が「本を借りる場所」から「知識を吸収し、集中して過ごす場所」へシフトしているわけで。
自習する人が増えることで館内に活気が生まれ、それが新たな利用者を呼び込む好循環が生まれているケースもあります。
図書館側の対応
自習禁止から自習ウェルカムまで、自治体によって方針が180度異なります。
訪問前に必ず館内の掲示を確認してください。
どちらが正解というわけではなく、それぞれの地域の事情に合わせた運営がされているんです。
【注意点】
自習ルールは自治体によって大きく異なります。混雑時には自習を制限する館もあるため、事前確認が必要です。
Q. もうこれからは電子書籍だけにすればいいのでは?
A. 「電子化すればすべて解決」とならない、物理的な壁とコストの課題が主に4つあります。
一見合理的に思えるこの提案ですが、実際には複雑な問題が絡んでいるんですよね。
理由1|「所有」できないライセンス契約
紙の本は一度買えば何十年も持ち続けられますが、電子書籍の多くは「利用権のレンタル」なんです。
数年ごとに契約更新が必要で、出版社が提供を止めれば棚から消えてしまう。
文化保存の観点から「紙」は不可欠なんですよね。
理由2|予算の壁
図書館が電子書籍を導入する費用は、個人が買うより数倍高価なケースが多く、自治体の予算を圧迫します。
全蔵書を電子化するのは現実的ではありません。
2025年4月時点で電子図書館を導入している自治体は全体の33.1%に過ぎず、導入されている電子書籍は紙の本の数%に過ぎないのが一般的です。
理由3|デジタル・デバイド
高齢者やネット環境がない世帯にとって、電子化のみに絞ることは「公共サービスからの排除」に繋がります。
誰もが平等に情報にアクセスできる権利を守るため、紙の本は必要なんです。
理由4|媒体による学習効率の差
茨城大学等の研究では、深い読解や没入感においては依然として紙の書籍が優れているというデータがあります。
教育現場でも併用が推奨されており、電子か紙かという二択ではなく、両方を使い分ける時代なんですよね。
【注意点】
電子書籍のラインナップは図書館の契約状況に依存します。最新のベストセラーが電子版で読めるかどうかは、各図書館に確認してください。
Q. 経営はもう民間に任せたほうがいいのでは?
A. 指定管理者制度により民間委託は進んでいますが、手放しでの成功ばかりではありません。
現在、多くの図書館が民間企業(紀伊國屋書店、TRC、CCCなど)によって運営されています。
ただ、メリットとデメリットの両面があるんですよね。
民間委託と直営の比較
| 運営形態 | メリット | デメリット(懸念点) |
|---|---|---|
| 民間委託 |
・年中無休や開館延長が実現 ・カフェ併設などサービス向上 ・接客の質が高い |
・コスト削減で専門司書が減少 ・レファレンスの質低下リスク ・採算重視で郷土資料の整理が疎かになる可能性 |
| 直営 |
・地域の歴史資料保存に責任 ・長期的な知のインフラ維持 ・中立な情報提供 |
・変化に弱い ・サービスが画一的 ・柔軟性に欠ける |
結論としての現状
「経営効率」を重視して民間に任せる動きは加速していますが、一方で郷土資料の整理や中立な情報提供といった、採算の取れない公的使命が損なわれることが懸念されているわけで。
そのため現在は「経営は民間、責任(政策)は自治体」というハイブリッド型が主流になっています。
完全に民間に丸投げするのではなく、良いとこ取りをする方向性ですね。
図書館法の存在
図書館法で自治体には設置義務があり、無料公共サービスの維持が原則です。
民間は利益優先で利用制限が生じやすく、30年で図書館数が2,118から3,310に増えた地方拠点機能が損なわれる可能性があります。
公共性と効率性のバランスをどう取るか、これが今後の大きな課題なんですよね。
【注意点】
指定管理者制度は数年ごとに見直しが行われるため、運営会社が変わることで突然サービス内容が変わる可能性があります。特定の自治体での変化を知りたい場合は、その自治体名で検索してください。
図書館は時代遅れ?のまとめ
ここまで図書館が時代遅れかどうかについて、データと実態をもとに見てきました。
最後に要点を整理しておきましょう。
- 図書館の数は過去最多を更新しており、1人あたりの貸出冊数も増加傾向にある
- デジタル化の遅れなど古く見える部分はあるが、裏側ではAIやロボットを活用した進化が進んでいる
- 知のセーフティネットや地域のアーカイブ機能など、民間では代替できない公共の役割がある
- 電子化だけでは解決しない予算やアクセシビリティの課題が存在する
- 民間委託は進んでいるが、公共性と効率性のバランスが今後の課題
正直なところ、図書館は完璧な施設ではありません。
でも、すべての人に開かれた無料のインフラとして、確実に進化を続けているんです。
時代遅れに見える部分もあれば、知る人ぞ知る最先端の取り組みもある。
そんな図書館の両面を理解した上で、あなた自身がどう付き合っていくか考えてみてはいかがでしょうか。
コメント Comments
コメント一覧
コメントはありません。
トラックバックURL
https://library-navi.com/are-libraries-outdated/trackback/